ヘアアイロンの摩擦ダメージを防ぐ!滑りの良いプレート素材
こんにちは。くせ毛ケア完全ガイド 運営者の「ホシ」です。
毎朝ヘアアイロンを通すたびに髪が引っかかり、毛先のパサつきや摩擦ダメージが気になっていませんか。
私もくせ毛歴20年以上のなかで多くの機種を試しましたが、プレート素材を滑りの良いものに変えるだけで手触りは見違えるほど変わりました。
今回は電気工事士の視点も交えて、髪を守る素材選びと使い方を解説します。
この記事のポイント
- アイロンの摩擦でキューティクルが傷つく科学的理由
- シルクプレートや特殊コーティングが滑りを高める仕組み
- 主要5大プレート素材の比較と剛毛や軟毛別の選び方
- 髪を潰さず一回でサラサラに伸ばす低摩擦スルー技術
ヘアアイロンの摩擦ダメージを防ぐプレート素材の結論
ヘアアイロンによる髪の傷みというと「180℃などの高温による熱ダメージ」ばかりが注目されがちですが、実は同じくらい深刻なのがプレートで髪を挟んで引っ張る際に生じる「摩擦ダメージ」です。
結論からお伝えすると、毎朝のアイロンで髪を傷めたくないなら、摩擦係数が極めて低い「シルクプレート(特殊フッ素樹脂)」や「スムースグロスコーティング」「カーボンレイヤー(低反発コート)」を採用したモデルを選ぶのが一番の近道となります。
まずは、なぜプレートの滑りやすさが髪の寿命を左右するのか、毛髪科学と家電構造の両面からその理由を詳しく紐解いていきましょう。
アイロンの引っかかりでキューティクルが剥離する理由
ヘアアイロンを滑らせたときに「ギシッ」「ザラッ」とわずかな引っかかりを感じる場合、その瞬間にも髪の表面ではミクロの破壊が進行しているかもしれません。

私たちの髪の毛は、一番外側に「キューティクル」という透明なうろこ状の層が6枚から10枚ほど重なり合って、内部の水分やタンパク質を守る鎧の役割を果たしています。
さらに健康なキューティクルの最表面には、「18-MEA(18-メチルエイコサン酸)」と呼ばれる天然の油分膜が薄く張られており、隣り合う髪同士やクシが引っかからずにサラサラと滑る仕組みになっているのです。
ところが、ヘアアイロンで150℃〜180℃の熱を加えている最中は、髪のケラチンタンパク質が一時的に柔らかくなり、外からの物理的な刺激に対して普段よりずっとデリケートな状態に変化します。
その状態で、表面に目に見えない凹凸があるプレートやコーティングが摩耗したプレートで毛束を挟んでグイッと引っ張ると、うろこ状のキューティクルの端に引き剥がす力(せん断応力)が集中し、天然の保護膜である18-MEAごとバリバリとめくれ上がって剥離してしまうのです。
一度剥がれ落ちたキューティクルは自己再生することがなく、鎧を失った隙間から内部の水分保持組織(CMC)やケラチンタンパク質がシャンプーのたびに流出し、髪内部が空洞化する「ダメージホール」が形成されてしまいます(出典:ミルボン公式「ヘアケアサイエンス・毛髪補修メカニズム」)。
私自身も学生時代、数千円で購入した塗装プレートのアイロンで毎朝力任せに波状毛を引っ張っていた時期がありましたが、半年も経たないうちに毛先が白く枝毛だらけになり、指通りが失われて後悔した苦い経験があります。
だからこそ、くせ毛の私たちが毎日アイロンを使うのであれば、熱の温度管理と同じくらい「プレート表面がいかに鏡面のように滑らかで摩擦を起こさないか」にこだわることが、半年後・1年後の美しい髪を守る絶対条件となるのです。
まずは「アイロンを通すときのわずかな引っかかりこそが、キューティクルが削れている危険サインである」と認識することから始めましょう。
プレートの摩擦と高温による水蒸気爆発の複合リスク
さらにヘアアイロンのプレート素材を考えるうえで外せないのが、物理的な「摩擦」と高温による「水蒸気爆発」が同時に連鎖して起こる複合ダメージの恐ろしさです。
あなたはヘアアイロンを髪に当てた瞬間、「ジュッ!」という音とともに白い湯気が勢いよく立ち上るのを見たことはありませんか。
これがいわゆる「水蒸気爆発」と呼ばれる現象であり、髪の表面や内部に残っていた水分が100℃を超える金属プレートの熱に晒されて一瞬で沸騰し、体積が約1,700倍の水蒸気へと急膨張して髪の内部から破裂する仕組みです。
第二種電気工事士として電熱器の熱伝達構造を見るとよく分かるのですが、むき出しに近い金属プレートや熱伝導が急激すぎる安価なプレートは、髪に触れた瞬間に1点へ過剰な熱エネルギーを叩き込むため、水蒸気爆発を誘発しやすい特性を持っています。
そして問題となるのが、水蒸気爆発が起きた直後の髪の表面状態でしょう。
内部からの水蒸気の噴出によってキューティクルが外向きに押し広げられて逆立つため、その逆立ったうろこの上をそのままアイロンのプレートが通過することで、通常時の何倍もの激しい摩擦抵抗がかかり、キューティクルを一気に削ぎ落としてしまうのです。
つまり、「熱による水蒸気爆発」と「プレートによる摩擦」は別々に起きているのではなく、水蒸気爆発が引き金となって髪表面の摩擦係数を跳ね上げ、毛先がチリチリに縮れる「ビビリ毛」を引き起こしてしまいます。
この負の連鎖を断ち切るためには、200℃の高温状態でも水分を急沸騰させないマイルドな熱伝達特性と、逆立ったキューティクルさえも優しく撫でるように通過できる極小の摩擦係数を両立したプレート素材を選ぶ必要があります。
「しっかり乾かしているつもりでも、アイロンを通すと髪がパサパサに乾ききってしまう」と感じているあなたの髪では、まさにこの水蒸気蒸発と摩擦のダブルパンチが毎朝起きている可能性が高いでしょう。
シルクプレートや特殊フッ素樹脂が滑りを高める仕組み
では、水蒸気爆発と摩擦のダブルダメージを防ぐとして近年美容師やくせ毛ユーザーから高い支持を集めている「シルクプレート」や「特殊コーティングプレート」は、どのような仕組みで髪を守っているのでしょうか。

まず代表格である「シルクプレート(KINUJOやラディアント等に採用)」は、焦げ付き防止加工としても知られる「ポリテトラフルオロエチレン(特殊フッ素樹脂)」をベースに、独自の繊維構造で織り込んでプレート表面をミクロン単位で平滑に仕上げた素材です。
フッ素樹脂は固体物質のなかで最も摩擦係数が低い部類に入るため、髪を挟んで滑らせたときの引っかかりが驚くほど少なく、まるでシルク(絹)の上を滑らせるような軽い指通りを実現しています。
さらに、200℃に熱したシルクプレートの上に直接水滴を垂らしても、水滴が弾け飛ばずに玉のまま転がり続けるほどの穏やかな熱伝達特性を持っている点も見逃せません。
また、MTGの「リファ(ReFa)」が採用する「カーボンレイヤープレート」は、高密度炭素・ヒーター・低反発コートの3層構造により、表面の低反発コートが毛束を優しく包み込んで摩擦と圧力潰れを抑えつつ、マイルドな熱で水分を守る設計です(出典:MTG ReFa公式『リファストレートアイロン プロ カーボンレイヤープレート』)。
そしてパナソニックの「ナノケア(EH-HS0J等)」に搭載されている「スムースグロスコーティングプラス」は、毛束の滑り荷重を低減した特殊セラミック皮膜と「ナノイー」の水分補給を組み合わせ、摩擦によるキューティクル損傷を防ぎながら1回でツヤ髪を作る構造となっています(出典:パナソニック公式『ストレートアイロン ナノケア EH-HS0J 特長』)。
最新低摩擦プレートが「摩擦ダメージ」と「パサつき」を同時に防ぐ3段階メカニズム
- 第1段階(ミクロン単位の平滑表面):プレート表面の微細な凹凸をなくし、キューティクルのうろこ端が引っかかる物理的抵抗をカット
- 第2段階(マイルドな熱伝達で水分保持):特殊フッ素樹脂や低反発コートが急激な熱移動を和らげ、水蒸気爆発によるキューティクル逆立ちを防止
- 第3段階(1回スルーでの時短矯正):滑りと熱均一性が高いため同じ毛束を何度も往復させる必要がなく、トータルの摩擦回数が3分の1に減少
チタンやセラミックなど主要プレート素材の性能比較
ここまで最新の特殊プレートを見てきましたが、市販のヘアアイロンで広く使われている「チタンプレート」や「セラミックプレート」も含めて、主要5大プレート素材の特徴と違いを横並びで比較してみましょう。
まず「チタンコーティングプレート」は、金属のなかでも表面が滑らかで耐摩耗性・耐食性に優れており、コーティングが剥げにくく長期にわたって軽快な滑り心地が続くため、サロン業務用のアイロンから高コスパ機まで幅広く愛されている素材です。
ただし、チタンは熱伝導率が高く髪の温度が一気に上がるため、180℃以上の高温でゆっくり当てすぎると水分が蒸発しやすく、150℃〜160℃で素早くスルーする使い方が適しています。
次に「セラミックプレート」は、遠赤外線効果によってプレート全体がムラなく均一に温まるのが長所ですが、一般的なセラミック塗装のみのプレートはチタンやシルクプレートに比べるとわずかに表面の摩擦係数が高く、1年〜2年の使用で塗装が摩耗すると引っかかりを感じやすくなる点が留意点です。
そして「シルクプレート」と「カーボンレイヤープレート」は、滑りの良さと水分保持力の両面で頭ひとつ抜けた性能を持っており、毎日のアイロンで毛先のパサつきやゴワつきに悩んでいる人にとって最も頼もしい選択肢となります。
| プレート素材の種類 | 滑りの良さ(摩擦軽減) | 水分保持力・仕上がりの質感 | 主な採用機種と向いている人 |
|---|---|---|---|
| シルクプレート(特殊フッ素樹脂) | 極めて高い(引っかかりゼロ感覚) | 200℃でも水蒸気爆発を防ぎ、しっとり柔らかく仕上がる | 絹女(KINUJO)、ラディアント/パサつきやすい全髪質に最適 |
| カーボンレイヤー(高密度炭素+低反発) | 高い(低反発コートで優しく滑る) | 髪を押し潰さず、サロン帰りのようなレア髪ツヤ質感になる | リファ(ReFa プロ)/細毛・軟毛・ダメージ毛や前髪セットに好適 |
| スムースグロスコーティングプラス | 高い(滑り荷重を抑えた平滑面) | ナノイーの水分補給との相乗効果で毛先までまとまりが続く | パナソニック(ナノケア EH-HS0J)/剛毛・多毛のうねり伸ばしに最適 |
| チタンコーティングプレート | やや高い(金属皮膜で軽快に滑る) | 熱伝導が速くシャキッと伸びるが、高温の当てすぎは乾燥に注意 | サロニア(黒・グレー)、アゲツヤ/コスパ重視・太い健康毛向け |
| 一般セラミック・アルマイト塗装 | 標準(経年劣化で摩擦が増えやすい) | 遠赤外線で均一に温まるが、特別なしっとり保湿機能は持たない | サロニア(白・紺)等の入門機/使用頻度が週1〜2回と少ない人向け |
クッションプレート構造と上下の密着精度の重要性
ヘアアイロンの摩擦ダメージを語るうえで、プレート表面の素材と同じくらい決定的な差を生むのが、「クッションプレート(3Dフロート構造)」の有無と「上下プレートの密着精度」です。
実は、くせ毛の人がアイロンを通すときに「ブチッ」と髪が1〜2本引き抜かれたり、毛先でプレートがカクッと引っかかったりする原因の半分は、プレートの素材ではなく「プレートの角(エッジ)や隙間に髪が食い込んでいること」にあるのです。
私たちが挟む毛束は、中央部分が厚く端のほうが薄いという不均一な厚みを持っているため、上下のプレートがガチガチに固定されたアイロンで挟むと、中央の一部分にだけ過剰な圧力がかかり、端の毛束はスカスカで熱が伝わらないという現象が起きます。
そこで活躍するのが、プレートの裏側に精密なバネやシリコンダンパーを組み込んだ「クッションプレート(3Dフロート機構)」にほかなりません。
クッションプレート搭載機であれば、毛束の厚みやアイロンを傾ける角度に合わせてプレート自体が上下左右にミリ単位で沈み込み、毛束全体へ均等な圧力を分散させてくれるため、局所的な摩擦や髪の押し潰れを劇的に防げるのです。
さらに、プレートの四隅の角が丸く面取り(ラウンドエッジ加工)されているモデルなら、根元から毛先へ斜めにアイロンを抜くときや、毛先を内巻きにワンカールさせるときでもプレートの角が髪に食い込まず、引っかかりゼロで滑らかにスルーできるでしょう。
反対に、価格が極端に安いアイロンや長年使ってヒンジ(蝶番)が歪んだアイロンは、閉じたときに上下のプレートの間に0.5mm〜1mmほどの隙間が空いたり、プレートの端のプラスチック枠に髪の毛が挟まって引きちぎられたりするリスクが高まります。
店頭やネットでヘアアイロンを選ぶ際は、単に「チタン」「セラミック」という素材名だけでなく、「上下左右に動く3Dクッション機構が入っているか」「閉じたときに隙間なくピタッと密着するか」まで必ずチェックしてくださいね。
ヘアアイロンの摩擦ダメージを抑える選び方と使い方
前半では、ヘアアイロンの摩擦によってキューティクルが剥離する仕組みと、シルクプレートや特殊コーティング、クッション構造が髪を守る理由を確認してきました。
ここからは、実際にあなたが自分の髪質(剛毛・多毛のくせ毛や、細くて傷みやすい軟毛)に合わせてどのプレート素材を選べばよいのか、具体的な選定基準をお伝えします。
さらに、どんなに優れたヘアアイロンを使っていてもやり方を間違えると髪を傷めてしまう「アイロン前の下準備」と「摩擦ゼロで1回で伸ばすスルー技術」まで、私が毎朝実践している手順をステップバイステップで見ていきましょう。
剛毛や軟毛など髪質に合うプレート素材の選び方
滑りの良いプレート素材と一口に言っても、あなたの髪が「太くて硬い剛毛・多毛のくせ毛」なのか、それとも「細くて柔らかい軟毛・ダメージ毛」なのかによって、ベストな相性を持つヘアアイロンは異なります。

まず、私と同じように「髪が1本1本太くて硬い剛毛・量が多くて広がる波状毛」の方には、プレートの滑りやすさに加えて「熱の回復スピード(温度維持力)」と「1回で伸ばし切るホールド力」が必要です。
そのため剛毛・多毛の方には、プレート幅が広めで熱量が落ちず、高浸透ナノイーとスムースグロスコーティングプラスで硬い髪をしっとり柔らかく伸ばせる「パナソニック ナノケア(EH-HS0J)」や、シルクプレートを備えた「KINUJO(絹女)・ラディアント」が最適です(出典:パナソニック公式『ストレートアイロン ナノケア EH-HS0J 製品仕様』)。
一方で、「髪が細くて絡まりやすい軟毛・猫っ毛」や「カラー・縮毛矯正を繰り返しているダメージ毛」の方は、プレートの圧力で髪がペチャンコに潰れたり水分が抜けすぎたりするのを防ぐ必要があります。
こうした繊細な髪質の方には、低反発コートがクッションのように髪を優しく包み込み、過度な圧力を逃がしながらマイルドに熱を伝える「リファ(ReFa ストレートアイロン プロ)」や、シルクプレートの「KINUJO」を選ぶと、ふんわりとした丸みとツヤを残したまま整えられるでしょう。
また、予算5,000円前後で今より滑りの良いアイロンに変えたい場合は、同じ手頃なモデルでもセラミック塗装のホワイト系ではなく、滑らかで耐久性の高い「チタンコーティング(サロニアのブラックやグレー等)」を指名買いするのが賢い選び方ですよ。
| あなたの髪質・くせ毛タイプ | 陥りやすい摩擦トラブル | 最優先すべきプレート素材 | 適正温度と使い方の目安 |
|---|---|---|---|
| 剛毛・多毛・太い波状毛 | うねりを伸ばそうと固く握り締め、何度も往復してゴワつく | スムースグロスコーティング+ナノイー / シルクプレート | 160℃〜170℃で薄く小分けにして1回で伸ばし切る |
| 軟毛・細毛・猫っ毛のうねり | プレートの圧力で髪が扁平に潰れ、絡まって切れ毛になる | カーボンレイヤー(低反発コート) / シルクプレート | 130℃〜150℃の低温設定で圧をかけずに素早く通す |
| 縮毛矯正・カラー後の傷んだ髪 | キューティクルが薄く、少しの引っかかりと乾燥でチリつく | シルクプレート(特殊フッ素樹脂複合体)一択 | 140℃以下を厳守し、伸びてきた根元のくせを中心に整える |
| コスパ重視・健康なくせ毛 | 安価な塗装プレートの摩耗による引っかかりと熱ムラ | チタンコーティング(3Dクッション機構付きモデル) | 150℃〜160℃でヒートプロテクト下地を併用して滑らせる |
摩擦を最小限に抑えるアイロン前の下準備と小分け
滑りの良いプレートのヘアアイロンを手に入れたら、次に実践してほしいのが、アイロンの電源を入れる前に摩擦の原因を取り除く「3つの下準備」となります。
私がくせ毛の読者さんから相談を受けるなかで特に多い間違いが、「絡まったままの髪にいきなりアイロンを当てて、プレートでクシのように髪を梳かしながら伸ばそうとする行為」です。
髪の毛同士が交差して絡まっている部分に高温のプレートを通して引っ張ると、交差した1点に猛烈な摩擦と張力が集中し、健康な髪でも簡単にキューティクルが剥がれてプチプチと切れてしまいます。
そのため、アイロンを通す前には必ず、①根元から毛先までしっかり乾いていることを確認し、②目の粗いコームやパドルブラシで毛先から順番に優しくブラッシングして絡まりをゼロに整えることを徹底してください。
そしてもうひとつ重要なのが、アイロン前のスタイリング剤(洗い流さないトリートメントやヘアオイル)の選び方と塗る順番でしょう。
「滑りを良くしたいから」といって、アイロン直前の乾いた髪にしっとり系の重いヘアオイルをたっぷり塗ってからプレートを当てると、オイルの膜の下に閉じ込められた水分が水蒸気爆発を起こすだけでなく、油分が高温のプレートに焼き付いてベタつき、かえって摩擦抵抗を増やしてしまうのです。
アイロン前の下地には、熱に反応してキューティクル表面のめくれを補修し滑り膜を作る「γ-ドコサラクトン(エルカラクトン)」や「メドウフォーム-δ-ラクトン」が配合されたサラッとしたアイロン用ローションやヘアミルクを馴染ませ、ドライヤーで乾かしきってからアイロンを通すようにしましょう。
そのうえで、ダッカール(ヘアクリップ)を使って髪を上下3段〜4段に小分け(ブロッキング)しておけば、1回に挟む毛束の量が均一になり、無駄な重ね塗りを防いで最小限の回数でサラサラに伸ばせますよ。
朝のわずか1分間のブラッシングと小分けの手間を惜しまないことが、高価なトリートメント以上の摩擦予防効果を発揮してくれます。
プレートを固く握り込まず一回で滑らせるスルー技術
下準備と小分けが整ったら、いよいよヘアアイロンを髪に通していきますが、ここで摩擦ダメージをゼロに近づける最大の秘訣が「親指と人差し指の力を抜くこと」です。

物理学の基本として、物体の摩擦力は「表面の滑りにくさ(摩擦係数)」×「押し付ける力(垂直抗力)」で決まります。
つまり、いくら滑らかなシルクプレートアイロンを使っていても、あなたがグリップをギュッと力いっぱい握り締めて髪を引っ張ってしまえば、プレート内部の摩擦力は2倍にも3倍にも跳ね上がり、円柱状の髪の毛が平べったく押し潰されてしまうのです。
そもそも、くせ毛が伸びるのは「力で引っ張ったから」ではなく、「プレートの熱で髪内部の水素結合が一度切れ、真っ直ぐな状態で冷めることで再結合するから」にほかなりません。
したがって正しい力加減は、「上下のプレートが毛束の両面に優しく触れ、毛束が隙間からこぼれ落ちない最小限のタッチ」で閉じるだけで十分なのです。
具体的なスルー手順としては、まず幅3cm〜5cm・厚さ1cm〜1.5cm程度の薄い毛束を取り、設定温度を140℃〜160℃(剛毛でも最高170℃まで)に合わせたアイロンを根元から3cmほど離した位置に軽く挟みます。
そのまま「1秒間に3cm〜5cm」の落ち着いた一定スピードで、途中で止めずに毛先までスーッと1回で滑らせて抜くようにしてください。
そしてアイロンが通過した直後の温かい毛束に、反対の手やコームをすぐ後ろから添えてゆっくり冷ますと、余計な力を一切かけなくても水素結合が真っ直ぐな状態でピタッとロックされ、何度も往復させる必要がなくなるため摩擦ダメージを根本から防ぐことができます。
毎朝の摩擦ダメージをゼロに近づける「低摩擦1回スルー」4つの黄金ステップ
- ステップ1(薄く均一な毛束取り):1回に挟む毛束は「厚さ1cm〜1.5cm以内」に抑え、中心まで一発で熱が届く状態を作る
- ステップ2(たまごを持つような軽いグリップ):プレートが髪に軽く触れるだけの力で閉じ、毛髪断面を押し潰さない
- ステップ3(秒速3cm〜5cmの等速移動):140℃〜160℃の設定で、同じ場所に留まらず根元から毛先へ1回で滑らかに抜く
- ステップ4(冷める瞬間の形状ロック):アイロン直後の温かい髪にコームや手を添えて冷まし、最後に毛先へ保護オイルを薄く馴染ませる
アイロンのプレート素材と摩擦に関するよくある質問
ここでは、ヘアアイロンのプレート素材選びや日々のお手入れによる摩擦予防について、読者のあなたからよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。
毎日のアイロン習慣や買い替え時期の判断にぜひ役立ててください。
Q1. プレートの表面にスタイリング剤が焦げ付いて滑りが悪くなった場合、どうやって掃除すればいいですか?
A. 必ず電源プラグを抜いてプレートが冷めてから、ぬるま湯で薄めた中性洗剤を含ませて固く絞った柔らかい布で優しく拭き取ってください。アルコールや除光液、メラミンスポンジ、硬いヘラで擦ると、大切なシルクプレートやフッ素・セラミックコーティング自体が剥がれて摩擦が激増するため絶対に使用しないでください。
Q2. ヘアアイロンのプレートコーティングの寿命は何年くらいですか?買い替えのサインはありますか?
A. 毎日使用する場合、一般的なコーティングプレートの寿命は約2年〜3年(高級機のシルクプレートやチタンでも約3年〜5年)が目安となります。「掃除しても髪を通すときにザラザラと引っかかる」「プレートの端の色が変わって塗装が薄くなっている」「閉じたときに上下の隙間が目立つ」という症状が出たら、摩擦ダメージを防ぐために早めの買い替えをおすすめします。
Q3. ストレートとカールの両方が作れる「2WAYヘアアイロン」は、ストレート専用機より摩擦ダメージが大きいですか?
A. はい、くせ毛を根元から伸ばす用途においては、ストレート専用機のほうが摩擦を抑えやすい構造になっています。2WAYアイロンは構造上クッションプレートが非搭載の機種が多く、外側のバレル部分も高温になるため根元を挟みにくい傾向があることから、毎日のくせ毛伸ばしにはラウンド形状のストレート専用アイロンを選ぶのが安全です。
Q4. 蒸気が出る「スチーム機能付きヘアアイロン」は摩擦ダメージの軽減に効果がありますか?
A. スチームで髪を湿らせながら高温プレートを当てる方式は、剛毛のうねりを伸ばす力は高いものの、髪内部の水分調整が難しく水蒸気爆発を招きやすい側面があります。毎日のホームケアで摩擦と熱傷みを最小限に抑えるなら、給水不要で水分を閉じ込める「シルクプレート」や「高浸透ナノイー搭載機」を乾いた髪に使うほうが手軽で失敗がありません。
このように、日々の優しい拭き取りメンテナンスと寿命サインの見極めを行うことで、大切な髪を摩擦から守り続けることができます。
ヘアアイロンの摩擦ダメージを防ぐプレート素材まとめ

今回は、ヘアアイロンによる摩擦ダメージが発生する毛髪科学的な理由と、滑りの良いプレート素材の選び方・正しいスルー技術について詳しく解説してきました。
毎日アイロンを使っているのに毛先がパサついて広がる原因は、単なる熱だけでなく、表面の粗いプレートで髪を引っ張ることによる「キューティクルの剥離」と「水蒸気爆発の連鎖」にありました。
この摩擦ダメージを根本から断ち切るには、200℃でも水蒸気爆発を起こさず際立った滑りやすさを誇る「シルクプレート(KINUJO・ラディアント)」や、「スムースグロスコーティングプラス(パナソニック ナノケア)」「カーボンレイヤープレート(リファ)」といった最新の低摩擦・高保湿プレート機へ切り替えることが最も確実な解決策です。
また、予算を抑えて選ぶ場合でも、塗装が摩耗しやすい一般セラミックではなく、滑らかで耐久性に優れた「チタンコーティング+3Dクッションプレート搭載機」を選ぶことで髪への引っかかりを大幅に減らせます。
そしてアイロンを通す際は、①完全ドライとブラッシングで絡まりをなくし、②熱保護ミルクを下地に仕込み、③毛束を厚さ1cmに薄く取ってグリップを固く握り込まずに1回でスッと滑らせることを習慣にしてみてください。
さらに使用後はプレートが冷めてから柔らかい布で皮脂やスタイリング剤の残留物を拭き取っておけば、翌朝も焼き付きによるザラつきを起こさず、新品時のような気持ちの良い滑り心地を何年もキープできます。
私自身、プレート素材にこだわり、親指の力を抜いて1回スルーを徹底するようになってからは、くせ毛を毎日伸ばしていても美容師さんから「毛先まで柔らかくて綺麗ですね」と褒められるようになりました。
まずは明日の朝、今お使いのアイロンのプレート表面に引っかかりがないかチェックし、毛束をいつもの半分に薄く取って優しく撫でるように滑らせるところから始めてみてくださいね。


